リベルサス®について
当院では食事や運動に気を付けても痩せることができない方やなかなか忙しくてダイエットができないけど何とか痩せたい方などに対して、メディカルダイエットを行っております。今回はメディカルダイエットで使用する薬剤の中で内服薬のGLP-1製剤であるリベルサス®について書きたいと思います。
リベルサスは、有効成分としてセマグルチド(semaglutide)を含む経口GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬です。主に2型糖尿病の治療薬として開発されましたが、近年では体重減少効果にも注目されています。
セマグルチドと同じ成分の注射剤である「ウゴービ🄬」は肥満症の治療として本邦でも保険適応となっています。
しかしながら「ウゴービ🄬」は処方が可能な施設が限られており、なおかつBMI35以上の高度の方など、保険適応が限られています。
今回は、ウゴービ🄬と同様の成分である内服薬のリベルサス®について医学的エビデンスを含めて説明します。
⇒【肥満外来】マンジャロ(tirzepatide)での減量(メディカルダイエット)効果についてはコチラをご覧ください。
1. リベルサスの作用機序
セマグルチドは、GLP-1受容体に作用することで、以下のような効果を引き起こします
- 食欲抑制: 視床下部に作用し、満腹感を増加させる。
- 胃内容排出遅延: 食事後の胃からの排出を遅らせることで、満腹感を持続させる。
- 血糖値調整: インスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することで、血糖値の安定化を図る。
これらの効果により、過剰なカロリー摂取を抑制し、体重減少をサポートします。
2. 医学的エビデンス
STEP試験(Semaglutide Treatment Effect in People with obesity)
STEP試験シリーズは、セマグルチドの肥満患者に対する体重減少効果を評価した臨床試験です。主に皮下注射製剤での試験が行われましたが、リベルサスでも類似の結果が確認されています。
- 対象: BMI 27以上の成人
- 投与量: セマグルチド2.4mg(注射の場合)
- 結果:
- 平均で体重の約15〜17%の減少を確認。
- プラセボ群では2〜3%の減少にとどまる。
- 有意差が認められた。
リベルサス(経口製剤)は0.5〜14mgの用量で試験されており、10〜14mgで有意な体重減少が観察されています。
PIONEER 4試験
リベルサスを含む経口セマグルチドの効果を評価した試験です。
- 対象: 2型糖尿病を有する肥満または過体重の患者。
- 結果:
- 平均で体重の約4〜5kgの減少を示す。
- プラセボ群に比べて有意に優れた結果。
これらの結果から、リベルサスはその容量にもよりますが、肥満や過体重患者に対して減量効果を示していることが考えられます。
3. 使用における注意点
リベルサスは、体重減少を目的とした薬剤として承認されているわけではないため、使用は慎重に行う必要があります。また副作用などを起こすことがあります。副作用などに関する注意点を以下に挙げます。
副作用
- 消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢、便秘)
消化器症状は初めの1~2週間に起こることが多いです。その後は落ち着くことが多い印象です。 - 頭痛・筋肉痛
頭痛や筋肉痛も初期の起こることがありますが、次第に改善することが多いです。 - 低血糖(特に他の糖尿病薬と併用時)
絶食や他の血糖降下薬を併用している場合に起こりやすいです。震えや冷汗、気分不良などの症状が起こります。
低血糖症状が疑われる場合には何かジュースやお菓子、食事などを摂取しましょう。
禁忌
- GLP-1受容体作動薬への過敏症
- 甲状腺髄様癌の個人歴または家族歴
- 多発性内分泌腺腫症症候群2型(MEN2)
ダイエット効果のポイント
リベルサスは、以下の条件を満たす人に特に有効である可能性があります
- BMIが高いが、生活習慣改善では効果が得られない。
- 食欲の抑制が難しい。
- 糖尿病やインスリン抵抗性を併発している。
リベルサスは国内では2型糖尿病に適応のある薬剤です。薬剤の安全性医薬品の使用に伴うリスクとメリットを十分に考慮し、医療機関での指導の下で利用することが重要です。
特に内服治療を開始するときはこれらのGLP-1製剤の使用に慣れている内科医師の管理の元、治療を開始することがいいでしょう。
リベルサスの服用方法
先の内容で、リベルサスは内服薬のGLP-1製剤として減量効果が期待できることが示されましたが、リベルサスは内服方法に注意が必要な薬剤です。
リベルサスは服用方法で薬の効果に差が生まれます。下記のとおり服用に気を付けましょう。
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空腹時に服用
- リベルサスは空腹時に服用する必要があります。
- 食事の少なくとも30分前に水(約120mL以下)と一緒に服用してください。
⇒服用から食事までの時間が空くほど薬の吸収がよくなります。可能な方は1時間程度空けるとよいです。 - 他の飲料(牛乳、ジュース、コーヒー、アルコールなど)は薬の吸収を妨げる可能性があるため避けるべきです。
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1日1回、毎日同じ時間に服用
- 規則的に同じ時間に服用することで、血中濃度を安定させます。
- 飲み忘れた場合は気づいた時点で服用し、その後通常の服用スケジュールに戻します。ただし、次の服用時間が近い場合は飲み忘れ分をスキップしてください。
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水と一緒に飲む
- 120mL(コップ1杯以下)の常温の水で飲みます。
- 他の飲料や過剰な量の水を使うと吸収が低下する可能性があります。
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錠剤を噛んだり砕いたりしない
- 錠剤はそのまま飲み込んでください。砕いたり噛むと薬の効果が減少する恐れがあります。
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食後30分以内は他の飲食や薬の服用を控える
- 他の飲食物や薬が胃に入ると、リベルサスの吸収が阻害される可能性があります。
その他の注意事項
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服用開始時の副作用に注意
- リベルサスを初めて服用する際、特に吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状が現れることがあります。
- これらの副作用は一時的な場合が多いですが、症状が重い場合は医師に相談してください。
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他の薬との相互作用
- 他の薬と一緒に服用する場合は、相互作用のリスクを考慮し、医師または薬剤師に相談してください。
- 特に、血糖降下薬(インスリンやスルホニル尿素薬)と併用すると、低血糖のリスクが高まる可能性があります。
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適切な保管
- 湿気を避け、室温(15〜30°C)で保管してください。
- 冷蔵庫での保管や直射日光の当たる場所は避けましょう。
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飲み忘れた場合
- 飲み忘れた場合は、次の服用時間が近い場合を除き、気づいた時点で服用します。
- 2回分を一度に飲まないよう注意してください。
飲み方に関するよくある質問
Q1. 朝食の後に服用してもいいですか?
- いいえ。リベルサスは空腹時に服用する必要があります。食後では吸収率が低下し、効果が十分に得られない可能性があります。
Q2. 服用後に他の薬を飲んでもいいですか?
- 服用後少なくとも30分間は他の薬を避けるのが推奨されています。特に吸収に影響を与える薬の場合は、時間を空けることが重要です。
Q3. 飲み忘れが頻繁な場合は?
- 飲み忘れを防ぐために、日常のルーチンに組み込む工夫をするとよいでしょう(例: 起床後すぐに服用する)。
- 飲み忘れが続く場合は医師に相談してください。
まとめ
リベルサスは肥満治療に保険適応のあるウゴービ🄬と同様の成分の内服薬です。
国内で肥満症の適応はありませんが、より高容量で減量効果が期待できる薬剤です。
リベルサスの服用効果を最大化するためには、特定の条件を守ることが重要です。
特に空腹時の服用、適量の水で飲む、服用後30分以内は何も摂取しないといった点を意識してください。
また、副作用などが発現するリスクがあります。必ず使用に慣れた内科医師の管理の元、治療を行いましょう。
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