便秘

便秘とは?

便秘とは?便秘は排便の回数が減る、排便困難、すっきりしないなどの症状がある状態で、排便日数の明確な定義はありませんが、一般的には3日以上排便がなければ便秘とされます。

便秘の原因は?

便秘は主に大腸の運動低下による便秘(機能性便秘)と、物理的に便の通り道が塞がって便が出なくなる便秘(器質性便秘)があります。

機能性便秘・・・生活習慣、加齢、脱水、糖尿病、薬剤などが原因となります。
器質性便秘・・・大腸癌、直腸癌などが原因となります。

一番気を付けないといけないのは大腸癌などの悪性疾患による便秘です。

便秘を放置しておくと病気のリスクが高くなります。

「便秘は万病のもと」

便秘は便を出そうといきむことで、血圧が上昇し脳の血管や心臓に負担をかけてしまいます。特に高齢者の方は注意が必要です。いきんで血圧が上昇してしまったことで結果的に心不全や脳卒中などのリスクが上がってしまいます。排便回数が少ない方は心疾患や脳血管疾患での死亡率が上がるという報告もあります。慢性的な便秘が続く場合、消化器内科を受診して原因を確かめ、適切な治療を受けて解消するようお勧めしています。

 


便秘治療には便秘の原因を把握することが重要です。

便秘の種類

便秘は原因によって4タイプに大きく分けられ、それぞれ適した治療法が異なります。便秘を解消するためには専門の内科を受診し、原因をしっかり確かめてそれに合わせた治療を受けることが重要です。

 - 弛緩性便秘

大腸の蠕動運動低下によって生じる便秘です。便を送る機能が低下して便が長くとどまってしまい、水分を過剰に吸収されて便が硬くなり、排便が困難になります。女性や高齢者に多く、加齢による筋力低下、運動不足、水分不足、食物繊維不足、ダイエットなどによって生じることが多くなっています。腹部膨満感、食欲低下、残便感などに加え、肩こりやイライラ、肌荒れなどを起こすこともあります。

 - 痙攣性便秘

大腸の過緊張によって生じる便秘です。
消化管の機能を司る自律神経のバランスが崩れ、腸管が緊張して便が停滞してしまっています。強くいきんでも少量しか出ず、残便感があります。主な症状は食後の下腹部痛、残便感であり、便秘と下痢を繰り返す症状を起こすこともよくあります。過敏性腸症候群によって生じることが多いタイプです。

 - 直腸性便秘

直腸に便が停滞して生じる便秘です。
通常であれば、便が直腸に来た刺激で便意を起こしますが、便意を我慢していると直腸に便が来ても便意を生じなくなり、直腸に便がたまって便秘になります。切れ痔で排便に痛みが伴うことで無意識に便意を我慢して発症し、痔と便秘を繰り返す悪循環を起こすことがあります。硬くなった便の刺激が続いて大腸粘膜に潰瘍や出血を起こすこともあります。

 - 器質性便秘

何かの原因で物理的に腸が狭くなってしまい、便が流れなくなっている状態です。腸閉塞(イレウス)、腸管癒着、大腸がん、大腸ポリープなどによって生じます。
このタイプの便秘は便の通過障害が起こっていますので、下手に下剤を服用してしまうと嘔吐や腸管穿孔などの合併症を起こす可能性があり、危険です。早急な受診が必要です。便秘に加え、血便や強めの腹痛、吐き気や嘔吐などを伴うこともあります。
手術や内視鏡治療が必要な場合があります。


便秘の治療・予防

POINTまずは生活習慣を見直しましょう

器質性便秘以外の便秘では、生活習慣の改善が治療の基本です。

  1. 定期的に運動をする
  2. 規則正しい時間に食事を食べる
  3. 水分をしっかり摂取する
  4. ヨーグルトなどの乳酸菌を摂取する
  5. 便意を我慢せずに便意を感じたらなるべく早く排便する

などの習慣が便秘を改善させるために大事です。

生活習慣の改善をしても治らない場合や、生活習慣の改善がなかなか難しい場合は薬物療法を行います。ここ近年は便秘薬もかなり進歩しており、さまざまな種類の薬が登場していますので、ご自身にあった薬をみつけることができると思います。

 - 食事

水分や食物繊維を必要量しっかり摂取し、栄養バランスがとれた食事を心がけてください。

規則正しい食生活

食事は毎日決まった時間に3食をしっかりとることが重要です。食事を摂取すると「胃結腸反射」という働きで、大腸の動きが活発となり、排便を促します。

脂質

脂質は不足すると腸の働きが低下し、スムーズな排便ができなくなります。ダイエット中でも適度な脂肪をきちんと摂取しましょう。

食物繊維

食物繊維は消化吸収されないので便のかさが増え、排便がスムーズになります。コレステロールや有害なものを吸着して排出させる働きがあり、糖の吸収を遅らせて食後血糖値の急上昇や急降下を起こしにくくします。
食物繊維には、水に溶ける水溶性、水に溶けない不溶性の2種類があり、便秘の原因によって理想的な水溶性・不溶性食物繊維の摂取バランスは変わってきます。不溶性食物繊維は蠕動運動を活発にして得便通改善効果が期待できますが、便秘のタイプによっては便を硬くしてしまう可能性がありますので、食物繊維のとり方については必ず医師に相談してください。

不溶性食物繊維を豊富に含む食品
穀類、野菜、豆類、キノコ、海藻、果物など

水溶性食物繊維
昆布、ワカメ、サトイモ、果物など

 - 腸内フローラ

便の固形成分は食べものを消化吸収したあとのカスだけではなく、腸内細菌やはがれた腸粘膜などの老廃物が含まれます。腸内細菌が増えると便の量が増え、排便がスムーズになります。食品に含まれる善玉菌である乳酸菌は腸内に乳酸をつくりだし、悪玉菌が増えにくく善玉菌が増加しやすい弱酸性の環境に整えます。乳酸菌はチーズやヨーグルトなどに含まれる動物性が有名ですが、漬物や味噌などに含まれる植物性もあり、腸内フローラを整えるためにはどちらも必要です。

 - 薬物療法

生活習慣を見直しても排便がない場合には薬物療法を行います。
下剤には以下のものがあります。

浸透圧性下剤

浸透圧性下剤は、便を軟らかくするお薬です。下剤による腹痛などはなく、長期の服用で薬が効きにくくなることもないので、第一選択として使われる薬剤です。

酸化マグネシウム
日本で一番よく使われる下剤です。安価であり、薬剤量の調整もしやすいお薬です。使いやすい薬剤ですが、腎臓が悪い方や高齢者の方では、高マグネシウム血症への注意が必要となります。

ラクツロース
腸管で分解されない糖分で、浸透圧で腸管内に水分を引き付けることで便を軟らかくします。子供でも安心して使用することができます。腹部の膨満感や腹痛などの症状がでることがあります。

ポリエチレングリコール
欧米では第一選択とされる下剤です。薬を水に溶解して飲む必要があり、下剤としては日本ではまだ馴染みのない薬剤ですが、副作用なども少なく使いやすい薬剤です。大腸検査時の腸管洗浄ではよく使われる薬剤です。

刺激性下剤

アントラキノン系(センナ、ダイオウ、アロエ)
日本では昔から使われてきている薬剤です。腸の蠕動運動を促進することで排便を起こします。たまに使用する分には問題はありませんが、連日のように服用すると腸に対する反応が弱くなってしまいます。徐々に薬が増えていくと、腸が耐性を持ち、便秘を起こしやすい腸になってしまいます。また大腸メラノーシスといい、大腸粘膜の褐色化を引き起こすことがあります。使用する場合は短期間にとどめるように気を付けましょう。

ジフェノール系(ピコスルファート)
腸の蠕動運動を促進することで排便を促します。センナやダイオウなどのアントラキノン系下剤より効きにくくなることが少なく、効果もしっかりしています。

上皮機能変容薬(ルピプロストン、リナクロチド)

小腸や大腸の粘膜上皮に作用して、水分を腸管内に引き込む薬剤です。比較的新しく登場した薬剤で、効果には個人差がある印象の薬剤です。ルピプロストンでは時折、悪心や嘔気などの副作用がでることがあります。リナクロチドは便秘型過敏性腸症候群にも適応があり、腹痛などの症状を軽減する作用があるとされています。

胆汁酸トランスポーター阻害薬(エロビキシバット)

回腸末端での胆汁酸の再吸収を阻害することで、便を軟らかくする作用と直腸での排便を促す作用があるとされています。直腸に便が溜まっていてもなかなか排便できないような直腸性便秘の方にも良い薬剤です。

座薬

直腸で便が溜まっている直腸性便秘には座薬を用いることがあります。炭酸水素ナトリウムの座薬は肛門へ入れると体温で溶け、直腸内で炭酸ガスを発生させます。炭酸ガスが直腸を刺激して腸の運動を高め、自然に近い排便作用を促します。ビサコジルは直腸にいれる刺激性下剤です。腸を刺激して蠕動運動を起こします。

いろいろな下剤が登場してきています。
近年いろいろと便秘の治療薬も種類が増えてきており、症状や体質、ライフスタイルなどにきめ細かく合わせた処方が可能です。市販の薬ですとどうしても使える薬剤に制限があり、耐性を持ち効きにくくなる薬剤も少なくはありません。便秘の治療薬を見直し「万病のもと」といわれる便秘の治療をしっかり受けるようにしましょう。


便秘のお悩みはまず当院へ

便秘のお悩みはまず当院へ東海内科・内視鏡クリニック 岐阜各務原院では、消化器内科の専門医が便秘治療を行っています。「便秘は体質だからあきらめている」「市販薬が効かなくなってきた」「治療を受けても改善しない」など、便秘に関するお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。
便秘のように生活習慣の改善も予防に大きな役割を果たす疾患では、患者さんが必要性を十分に理解した上で治療を進めることで大きな効果を得やすくなります。当院ではコミュニケーションを大切に考えた治療を行っており、丁寧に説明しています。
また、当院では必要に応じて無痛の大腸カメラを行うなど、より詳細で精度の高い検査を行って原因を確かめ、より効果的な治療につなげています。


文責:東海内科・内視鏡クリニック岐阜各務原院 院長 神谷友康

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